「ロスト・シティZ 失われた黄金都市」 マジメかっ!!
タイトル及び「インディ・ジョーンズのモデル」という宣伝から想像して、血湧き肉躍る冒険活劇かと思ったら、全然違った。
もう、全っ然違った。
怖いくらい違った。
コレは、非っ常〜〜に真面目な伝記映画です。
20世紀初頭のイギリス陸軍少佐、パーシー・フォーセットは、ブラジル、ボリビア政府から依頼された王立地理院、から依頼されたイギリス陸軍、の命令で、ブラジル、ボリビア国境をなすアマゾン川の源流の調査に赴くことになります。
艱難辛苦の末(どれくらい艱難辛苦かといいますと、ですね、探検隊の半数以上死んじゃうくらい)、アマゾンの源流に達したパーシーさん、そこで古代の土器を見つけちゃったもんだからサア大変、コレ以降パーシーさんの人生は、「アマゾン奥地の古代都市探し」に支配されちゃいました、というハナシ。
伝記映画には2種類ある。
描かれている本人が、実際よりも映画的にエグく、ドギツく描かれている場合と、本人か遺族、或いは子孫に配慮してか、実際よりフツーの人物として描かれている場合。
本作は明らかに後者だ。
ネットでサラッとパーシー・フォーセットさんの人生をさらってみると、映画に描かれている以上にアマゾンの狂気に取り憑かれ、周りに迷惑をかけまくった厄介なヒトであることが分かる。
なにしろ映画では3回しかアマゾンに行ってないが、実際には6、7回行ってる。ほとんど精神異常者のレベルなのだが、映画ではあくまで高潔な人物として描かれている。
脚本、監督のジェームズ・グレイ氏が真面目すぎるんだろうな、という感じ。
秘境探検のサスペンスや物珍しさに頼ることなく、むしろイギリス国内での権力闘争や家族の葛藤に時間を割いている。
家族の葛藤もあまり激しいものではなく、妻のニーナはいつも(いつまでも)良き理解者である。
長男も、家を空けてあまり意味があると思えない冒険行にうつつを抜かす父親に一時激しく反抗するが、最終的には同行を求めたりする。
長男は実際にアマゾンに同行するのだが、実際の葛藤はこんな生易しいもんじゃすまないだろう。
なにしろ最終的には陸軍中佐でありながら、電気も水道も来ていないあばら家に住むことを余儀なくされるのだ。アマゾンに行くための資金を捻出するために、先祖伝来の家財まで売り払ったらしい。
こんな親父いたら溜まったもんじゃないだろう。
しかし、映画はダリウス・コンジによる映像で、あくまでも美しく進む。
イギリス国内の逆光気味のけぶったような空気感と、ギラギラとしたアマゾンの対比は見事である。
この美しい映像と、抑えた演出で、ラストのアマゾンでの出来事など、かなり悲惨な状況であるにもかかわらず、なんかふわふわとして、不思議な印象をのこす不思議なラストになっている。
主演は「パシフィック・リム」のチャーリー・ハナム。
銃の名手でフォーセット氏に長年付きしたがう相棒に、ハリポのセドリック役だった、というか「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソン。終始ヒゲモジャで誰だかわかりませんが。
スピルバーグが撮ったらもっと悲惨な映画になっただろう。
ピーター・ジャクソンが撮ったらジャングルばっかりの映画になっただろう。
しかしそのどちらでもない。
そんな映画。
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