「ほんとにあった!呪いのビデオ 70」 菊池宣秀の静かなる退場
「マリオネット」
父親がフリマで操り人形を買ってくる。
居間で父親が操作する操り人形を見て喜ぶ小学生高学年くらいの娘。
この娘の演技がなかなか自然で良い。
絶対この操り人形が暴れだすんだと思ったら違った。
踊る操り人形の後ろの箪笥と壁間の隙間から、あり得ない角度であり得ないものが、、、
箪笥とかその横の本棚とか全部ぶち抜いて横たわったんだろうか。
でも本棚にはちゃんと本入ってるしなぁ、、、
「染み」
廃墟もの。
廃墟の床にシミが広がって、そのあとバーさんが起き上がってくるが、、、
あの角度で手をつかないで起き上がってくるって、寝たきりのバーさんとは思えない腹筋力じゃね?
「二段ベッド」
25年前の映像。
投稿者が兄と二段ベッドで遊んでいるところに、この世のものならざるものが映り込む。
カメラが振られたときに自然にそこにいる感じが良い。
当時投稿者の兄を溺愛していた近所のオジサンに似ていると言うが、確かに兄弟のうちをひとりを目で追っている。
「シリーズ監視カメラ ペットカメラ」
ペットカメラを監視カメラっていうかなぁ、、、
ペットカメラが度々倒れているので、一日中録画しておいたハナシ。
ボールでじゃれたりしていたかわいいワンちゃんが、突然カメラの上方に向かって唸りだす。
やがて突進してきてカメラが倒れてしまうが、倒れる途中のカメラに写っていたものは、、、
コレは、犬を使っている点で画期的かもしれない。
当たり前のハナシだが、犬は子供以上に演技させるのが難しいので、なんかリアリティが増す。
映っていた何者かの顔が、マスクのようなものを被っているように見えて不気味なのもちょっといい。
「寝顔」
恋人の部屋に訪ねてきたオトコ。「地味可愛い」彼女が寝ているので、スマホで彼女の寝顔やら、シャツをめくってエッチな姿やら撮ろうとしていたら、たまたま映り込んだ鏡にこの世のものならざるものが、、、
投稿者は寝ていた彼女。鏡に写ったものにビビった彼氏はスマホを取り落としてそのまま失踪したらしい。
彼氏について調べてみると、投稿者が死別したと聞いていた彼氏の元妻は、実は離婚しただけで生きているらしい。
しかも離婚してから投稿者と付き合うまでに付き合った二人の女性は、それぞれ悲惨な目にあっている。
付き合ってた女性が全身骨折したりやけどを負ったりすると分かれるオトコ。
クズかも知れん。
このハナシは論理的に考えてこのあと「地味可愛い」投稿者もひどい目にあうだろう、と言うことであって、このハナシこそちゃんと追いかけるべき。
「墓」
なんともシンプルかつありがちなタイトルだが、、、
合宿中に夜中にお墓にやってきた男女数人のラクロス部員(ラクロスってオトコもいるのね、、、)。
一行のうち一番可愛い女の子の髪の中からこの世のものならざるものが、、、
この娘はこのあと中年のストーカーに刺されたという。
つまり、お墓はなんの関係もないんじゃないの?
そして二本続けて「生霊」のハナシですな。
「fake」
今回の長編。
投稿者の夫昭一の実家に帰省した際、みんなで花火大会をしたときの映像に、恐ろしい顔が映っている、と言うのが発端。
昭一の実家周辺を調査してみると、その辺りの子どもたちには「濡れ女」という「子供を探す髪の長い濡れた女」の都市伝説があることがわかる。
さらに、20年前、井戸に落ちて亡くなった子供がいることもわかった。
前作から復帰している演出補森澤が、ここでも抜群の冴えを見せる。
亡くなった小学生、健(たける)くんの小学校は投稿者の夫昭一氏の実家のそばであり、当然、昭一氏も同じ小学校の出身、さらに言えば健くんは生きていれば昭一氏と同年代のはずで、二人は知り合いだった可能性があるのではないか、と気づくのである。
もう、この時点で先の展開が見えてしまふ。
昭一氏にハナシを聞こうと投稿者の家に取材に行くと、案の定昭一氏は取材拒否どころか、怒り狂って製作委員会の面々にモノを投げつけてくる始末である。
更に調査を続けると、案の定、昭一氏と健くんは幼馴染で、健くんが亡くなった当日も、5人の仲間と共に井戸に遊びに行っていたという。
ここで突如、健くんは手に欠損があった、というハナシが出てくる。
健くんは片手の親指が欠損しており、それを隠すために普段手袋をして暮らしていた。
そして健くんは井戸に投げ込まれたその手袋を探すために自ら井戸に落ちたのであり、手袋を井戸に投げ込んだのは当の昭一氏だという、、、
このハナシはコレで終わりでもいい、というかココまでで十分ヤヴァい、と思うが、実は、この後、更にヤヴァい展開が待っているのだ。
片手の親指が欠損、の時点で、お?ヤヴァいかな?と思ったが、欠損が有った理由、さらに実は死因に不審な点がある、という辺りから菊池カントクのヤヴァさがキュキュキューーーッ!!と音を立てて加速していく。
さらに意味があるのかないのか全く分からない問題の井戸への深夜の探検(何故深夜に行くのかも全くわからない)など、エンディングに向けて菊池カントクらしさが噴出してくるのだが、、、
今回は、ストーリー的にはヤヴァいものの、数巻前までの信じがたい禍々しさは影を潜めているようである。
そして、我々はすでに菊池カントクが今回でほん呪を離れることを知っている。
前回、今回と本来の菊池カントクらしさがやや控えめなのは、やはり親会社からなにか言われたのかもしれない。
まさか、持ち味を控えた結果が思わしくなかったから交代させられたとでも言うのだろうか、、、
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