「ジュラシック・ワールド」 「ジュラシック・パーク」-SF+アクション
シリーズ映画というものは三部作で一巡しちゃって、4作目あたりで最初に戻りたくなるものなかもしれない。
ほとんどリメイクと言ってもいいくらい1作目の「ジュラシック・パーク」と同じである。
そんな訳で、逆に1作目との違いを思い出していくと、この映画のことが判るかもしれない。
一作目は一応マイクル・クライトン原作のマジメなSFであり、「純粋科学の否定」とか、「自然をナメるな」とかシリアスなメッセージが横溢してたりしていたし、作品全体を覆うテーマは当時流行りだったカオス理論だったりする。
なにしろ主人公(古生物学者、サム・ニール)もヒロイン(古植物学者、ローラ・ダーン)も科学者である。
ハイテク=悪、過去から学ぶ科学=善という図式が、なんとなく、ある。
4作目ともなるとそういうシリアスな部分はすっかり抜け落ちて(ちょっとはある)、よりエンターテインメントとして純化されている様である。
なにしろ主人公は元軍人(クリス・プラット)で、ヒロインはパークの管理責任者(ブライス・ダラス・ハワード)だ。
ブライス・ダラス・ハワードは一応科学者という設定なのだが、劇中科学者らしいことはまるでせず、管理者として汲々としている。
エンターテインメントとして純化された分、サスペンス描写やアクションが増えている、
暴走したハイブリッド恐竜と討伐部隊の対決の緊迫感(と絶望感)など、一作目にはなかった要素だろう。
もうひとつ、一作目と比して明らかな美点がある。
いくつかギャグが効いている箇所があるのだ。
「手を握り合ってね」といわれ弟だけが手を出す、とか、管制室の若い二人の恋模様とか、なんか妙に生臭いというか、人間臭い笑いどころがあって、ちゃんと効いている。
コレはスピルバーグ演出ではあまり見られないことだ。
コリン・トレヴォロウ監督の功績なのだろう。
スピルバーグ監督、自作のリメイク(のような続編)の演出を他人に任せたせいで、はからずも自らの欠点をさらけ出してしまったのかもしれない。
ラストの暴走ハイブリッド恐竜への対処法など、よく考えられていて視覚的迫力も充分(ちゃんと伏線が引いてあるのも感心した)、監督二作目とは信じられないくらい良く出来てる。「スター・ウォーズ エピソード9」の監督に決まっていたのに降りてしまったのはちょっと残念。
このシリーズの最大の魅力は、やはり「動く恐竜」にあると思う。CGと判っていても、生き生きと動く恐竜たちの映像には、未だにちょっとドキドキする。
特に人間と一緒に写り込んでいるとドキドキ感が増すのだが、その辺の見せ方にもうちょっと工夫というかしつこさが欲しかった恨みもある。
やはり「空間の演出」は難しいのだろうな、と思うが、モササウルスのド迫力にだけは、正直ちょっとチビリました。
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