2014.05.25 Sunday
「サイロンの挽歌」 グイン・サーガの挽歌
他人によるグイン・サーガシリーズ、「他人グイン」の第二巻。
前作担当の五代ゆう氏がほとんど悪達者と言えるほど達者だったのに対して、なんだか色んな意味で素人丸出しなんじゃ、、、と思わざるを得ない。
例えば、開巻早々プロローグの第1ページ目に、こんな文章がある。
閑静な山の手地区の、貴族の下屋敷や富裕層の邸でも、門前にはかならずたいまつが焚かれている。
別にオカシクないじゃん、といえばそのとおりなのだが、、、
この前の文章は、ケイロニアの繁華街は夜明けまで明るい、と言うことを描写している。
つまりハナシの流れとして、繁華街は夜明けまで明るいし、山の手だってたいまつがある、と言いたいわけで、「閑静な山の手地区」と、「貴族の下屋敷や富裕層の邸」を、「の、」で繋がれても困るのである。「閑静な山の手地区」と言った時点で、「繁華街ばかりか山の手地区ですら」という気持ちを明らかにしてもらわないと、(丸谷才一風に言うと)イメージが濁る。
このままの文章だと、閑静な山の手地区にあることはあるが、貴族の下屋敷や富裕層の邸「以外」ではどうなのか気になってしまう。
閑静な山の手地区「でさえ」、貴族の下屋敷や富裕層の邸「では」
ならまだどうにかなるかもしれない。
別に気になる文章を一生懸命捜したわけではない。たまたま開いた1ページ目でコレであり、本書は要するにこのような文章の連続で書かれている。
更に文章力のみならず、構成力の点でも気になりっぱなしである。
例えば今のプロローグだが、ココでは延々と深い闇が存在することが描写されている(先ほどの文章は、ケイロニアでは繁華街のみならず閑静な山の手地区ですら明るいのだから、コレほど深い闇はどこに存在するのだろう、、、と言う流れなわけだ)。
そして、その闇の中にチョロチョロと水の音がすることが明かされ、そのことから、ココは冥府に流れる河なのか、と続くが、突然、
この妄想を破ったのは、チュウという鳴き声だった。
と来るのである。
エ?エ?誰が妄想してたの?三人称小説の神の視点かと思ってたけど、誰か妄想してたヒトがいるの?
イメージの中に入り込んでいても、ココで完全に冷めてしまう。
コレは一体何事であろうか。なんかオレの知らない最先端のブンガク技法なの?そんなもんグイン・サーガで披瀝されても困るんだけど、、、
別に気になる構成を一生懸命捜したわけではない。プロローグでコレであり、本書は要するにこのような構成の連続で書かれている。
宵野ゆめ氏のプロフィールを見ると、既にベテランの域に達している五代ゆう氏より10歳ほど年上だ。うぅ〜ん、、、今この状態でこのお年から文章を志されるのね、、、
一方でやたら高級そうな表現はお好きなようなので、いっそブンガクでも志されたらいかがかと思う。
先代から引き継いだキャラクター達も、先代のイメージを崩すまいと汲々としてるだけで、五代作品のようにイキイキと動き出すというわけには到底行かない。
一体早川の編集部は何をしているのかと思う。
天狼プロダクションが怖いのだろうか。
確かにグイン・サーガに「移籍する」とか言い出されたら、早川の役員のクビのひとつくらいは飛ぶだろうが。
天狼プロダクションもこんなことをやっていては、中島梓小説ワークショップ出身者の今後にも関わるのではないか。
本作では久々にグイン御大もなにやらえっちらおっちら活躍しているが、一応本作の主役は宰相ランゴバルト侯ハゾスだろう。豹頭王の股肱の臣にして無二の親友であるハゾスは、数巻前に豹頭王を思えばこそ、断腸の思いで豹頭王に嘘の報告をしている。今作ではその嘘が大きくクローズアップされ、ハゾスは進退窮まってしまうのだ。
この、ハゾスの苦しみだけは、一応、伝わってきた。
今後も宵野ゆめ氏の筆になるグイン・サーガは出るのだろうが、正直いってしんどい。読み続けられる自信がない。
とにかくラストを読みたいと言う必要のために、あと数巻は買うだろうが。
JUGEMテーマ:小説全般
前作担当の五代ゆう氏がほとんど悪達者と言えるほど達者だったのに対して、なんだか色んな意味で素人丸出しなんじゃ、、、と思わざるを得ない。
例えば、開巻早々プロローグの第1ページ目に、こんな文章がある。
閑静な山の手地区の、貴族の下屋敷や富裕層の邸でも、門前にはかならずたいまつが焚かれている。
別にオカシクないじゃん、といえばそのとおりなのだが、、、
この前の文章は、ケイロニアの繁華街は夜明けまで明るい、と言うことを描写している。
つまりハナシの流れとして、繁華街は夜明けまで明るいし、山の手だってたいまつがある、と言いたいわけで、「閑静な山の手地区」と、「貴族の下屋敷や富裕層の邸」を、「の、」で繋がれても困るのである。「閑静な山の手地区」と言った時点で、「繁華街ばかりか山の手地区ですら」という気持ちを明らかにしてもらわないと、(丸谷才一風に言うと)イメージが濁る。
このままの文章だと、閑静な山の手地区にあることはあるが、貴族の下屋敷や富裕層の邸「以外」ではどうなのか気になってしまう。
閑静な山の手地区「でさえ」、貴族の下屋敷や富裕層の邸「では」
ならまだどうにかなるかもしれない。
別に気になる文章を一生懸命捜したわけではない。たまたま開いた1ページ目でコレであり、本書は要するにこのような文章の連続で書かれている。
更に文章力のみならず、構成力の点でも気になりっぱなしである。
例えば今のプロローグだが、ココでは延々と深い闇が存在することが描写されている(先ほどの文章は、ケイロニアでは繁華街のみならず閑静な山の手地区ですら明るいのだから、コレほど深い闇はどこに存在するのだろう、、、と言う流れなわけだ)。
そして、その闇の中にチョロチョロと水の音がすることが明かされ、そのことから、ココは冥府に流れる河なのか、と続くが、突然、
この妄想を破ったのは、チュウという鳴き声だった。
と来るのである。
エ?エ?誰が妄想してたの?三人称小説の神の視点かと思ってたけど、誰か妄想してたヒトがいるの?
イメージの中に入り込んでいても、ココで完全に冷めてしまう。
コレは一体何事であろうか。なんかオレの知らない最先端のブンガク技法なの?そんなもんグイン・サーガで披瀝されても困るんだけど、、、
別に気になる構成を一生懸命捜したわけではない。プロローグでコレであり、本書は要するにこのような構成の連続で書かれている。
宵野ゆめ氏のプロフィールを見ると、既にベテランの域に達している五代ゆう氏より10歳ほど年上だ。うぅ〜ん、、、今この状態でこのお年から文章を志されるのね、、、
一方でやたら高級そうな表現はお好きなようなので、いっそブンガクでも志されたらいかがかと思う。
先代から引き継いだキャラクター達も、先代のイメージを崩すまいと汲々としてるだけで、五代作品のようにイキイキと動き出すというわけには到底行かない。
一体早川の編集部は何をしているのかと思う。
天狼プロダクションが怖いのだろうか。
確かにグイン・サーガに「移籍する」とか言い出されたら、早川の役員のクビのひとつくらいは飛ぶだろうが。
天狼プロダクションもこんなことをやっていては、中島梓小説ワークショップ出身者の今後にも関わるのではないか。
本作では久々にグイン御大もなにやらえっちらおっちら活躍しているが、一応本作の主役は宰相ランゴバルト侯ハゾスだろう。豹頭王の股肱の臣にして無二の親友であるハゾスは、数巻前に豹頭王を思えばこそ、断腸の思いで豹頭王に嘘の報告をしている。今作ではその嘘が大きくクローズアップされ、ハゾスは進退窮まってしまうのだ。
この、ハゾスの苦しみだけは、一応、伝わってきた。
今後も宵野ゆめ氏の筆になるグイン・サーガは出るのだろうが、正直いってしんどい。読み続けられる自信がない。
とにかくラストを読みたいと言う必要のために、あと数巻は買うだろうが。
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