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マジックソープ ベビーマイルド 236ml
マジックソープ ベビーマイルド 236ml (JUGEMレビュー »)

中年オトコが石鹸をオススメかよッ!!と言うなかれ。ワタシはコレをガロンボトルで買い込んでます。
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「ミッション:8ミニッツ」 ある意味スピリチュアルSF

 時間がループする、と言うアイデアはSF界には古来よりよく見られるアイデアではある。オレが最初にこのアイデアに出会ったのは筒井康隆先生の「しゃっくり」だったろうか。ビル・マーレイの「恋はデジャ・ブ」から「X-File」の1エピソードを経て、最近では「涼宮ハルヒの憂鬱」と言えば若いヒトはピンと来るかもしれない。
 本作は、時間ループものに新たな一石を投じている。何しろ過去の時間ループものは時間ループそのものの原因は不明で、登場人物たちはただ時間ループの中に取り込まれるだけだったが、本作の主人公は、ある目的意識を持って自ら時間ループの中に飛び込んでいくのだ。
 
 つまり、主人公というかその周囲が、時間ループを起こしているのだ。登場人物の一人が語る(まあ、「博士」キャラ)時間ループを起こせる理由は、なんだかSFと言うよりオカルトみたいだが、ココさえ無理やり飲み込んでしまえば、息もつかせぬジェットコースタームービーとしてよく出てる。まあ、上映時間自体短いけど。
 
 主人公が全く事情をできてないオープニングから、徐々に事情が解ってきて目的意識を持ち始めるあたりの展開が上手い。更に主人公にはもうひとつ、個人的にどうしても解決したい問題があるのだが、コレも並行して解決しなければならない。8分間のループの中で。ホント、忙しい。
 
 オープニングのド頭で出てくるヒロインがオーラゼロで、列車の一乗客役のエキストラにしか見えない。徐々にこの女優さんがヒロインとわかってくるにつれ、「マジか、、、」と思うのだが、まあ、だんだん魅力的に見えてくるのは女優さんの実力か、と、思ったら、このヒト、「ミッションインポッシブル」シリーズのイーサン・ハントの奥さん役のヒトだそうだ。エエーーーーー、、、
 もう一人のヒロインも、良い役なのになんか冷たそうにしか撮れてないし、なんかこの監督、女優さんを魅力的に撮るとかに興味がないヒトなのかなぁ、、、と、思ったら、このダンカン・ジョーンズって監督さん、なんとあの、デヴィッド・ボウイの息子さんで、昔のいわゆるゾウイーくんが改名した姿なんだそうだ。エエエエエエーーーーー、、、
 デヴィッド・ボウイの息子が監督で、「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホールが主演で、女優が魅力的に撮れてないって、、、
 
 と、とりあえず与えられたアイデアを最大限に活かして、陰惨な真相を経て希望のあるラスト(いよいよオカルトですが)へと繋がる、一級品の娯楽作品だと思います。
 どこかを膨らましていけば、娯楽と芸術が両立出来るアイデアと手腕なんですが、上映時間も短いことだし、今回はそこまでは行きませんでしたね。
 とりあえず時間ループものに新たな傑作が加わった事を記憶しておきましょう。
JUGEMテーマ:映画 

at 20:06, 空中禁煙者, 洋画

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「ザ・ウォード/監禁病棟」 ラスト2秒のカーペンター節に痺れる

 ワタクシはジョン・カーペンター監督の本領はシブいアクション描写にあると信じて疑わないのだが、なにしろホラー映画ブームの時にデビューから二作続けてホラー映画ヒットさせちまったせいで、どうしてもホラー監督のイメージが抜けないのか、10年ぶりの新作はやっぱりホラー。
 まあ、ホラーも好きには違いないんだろうけどねぇ、、、

 精神病院の監禁病棟に隔離された5人の少女(と言ってもハタチ前後の感じ)達。
 一番新入りのクリステンは仲間を誘って脱出を試みるが、いつも幽霊に邪魔されてしまう。
 仲間たちは幽霊を「アリス」と呼んで恐れている。果たしてアリスは何故死んで、なぜ化けて出るのか、クリステンの病室の前の患者タミーはどこへ消えたのか、謎が謎を呼び怒涛のクライマックスへと雪崩れ込むわけですが、、、

 まあ、一種のオチ話みたいになってるのね。全てがクルッと説明がついちゃう。オレはこのオチには直前まで気が付かなかったが、後から考えてみるとヒントはイッパイ出てて、別にアンフェアではない。
 何故この監禁病棟には同じ年頃の少女しかいないのか、とか。 
 主人公のクリステンを始めとして5人の少女たちが監禁されなきゃならんほど重症の精神病に見えない、とか。

 アンフェアではないんだが、だからといって別に大して面白くはないのが残念。
 精神病院と少女、と言う組み合わせで、ちょっと雰囲気が「エンジェル・ウォーズ」にも似ているが、アレのおよそ1,273倍地味だし。美少女主役だけだし。
 クリステン役のアンバー・ハードちゃんはホレボレするようなちょっとオトコ勝りの美人だが、どうもこのヒト、同性愛者であることをカミングアウトしてるらしい。どうりで、、、

 そんなわけでまあ、ジョン・カーペンターのSFアクションが大好きなファンの期待に答えるものでは全く無いです。
 ラストのワンカットがデビュー二作目「ザ・フォッグ」のラストと呼吸までそっくりで、懐かしさに思わず涙が滲みましたが。
JUGEMテーマ:映画

at 22:47, 空中禁煙者, 洋画

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「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」 全国の猿野くんに光を!!

 まあ、アレですよ。
 「猿の惑星」ってのがあった訳ですよ。何十年も前に。5部作も。
 なんで何十年も前に5作も作られたかというとですね、コレ、結局第一作がエラい衝撃だったからなのね。特にラストが。
 
 まあ、今の若いヒトが見ても衝撃でもなんでもないでしょうが、まあ、なんとなく、「当時はエラい衝撃だつたんだらうな、、、」くらいは伝わると思います。
 映画のシリーズ物は最初から「全○部作!」とか言って作られることは滅多に無くて、たいていは一本作ったら受けたから二匹目のどじょうも狙っちゃえ!イキオイで三匹目の四匹目も狙っちゃえ!!っつって作られることが多いわけですが、「猿の惑星」五部作も例外じゃないです。
 
 で、なにしろ衝撃のラストを持つ第一作の続編ですから、みんな悩むのね。
 「やっぱ猿の惑星名乗る以上、衝撃のラスト用意せんとイケンのかなぁ、、、」と。
 で、この試みはある程度成功してる。もちろん一作目の衝撃には敵うべくもないが、みんなそこそこ衝撃のラストを用意してる。まあ、二作目のラストはヤケクソ気味だけど、当時はコレはコレで衝撃的だったんだと思う。オレはこのラストのチャールトン・ヘストンの「この世の終わりだぁ〜」って言う叫び声が大好きです。
 って書いてて今思い出したけど、オレが好きなのは実はチャールトン・ヘストンの声じゃなくて、TV版で吹き替えをした納谷悟朗の声ですね、そう言えば。
 
 一旦時代を現代に戻して、一作目の時代を目指す三作目以降も同じ。たとえば「最後の猿の惑星」と名乗った五作目最大の衝撃は、宣伝の時点でさんざん「一作目とつながり円環構造をなす!!」とか言って宣伝していくたくせに、実は円環構造などならず、敢えて「一作目とは繋がらない」ラストを用意したことだ。なんか卑怯な気もするが、コレはコレでヤラれた感がある。
 
 で、ですね、実は五部作の後、もう一作、ティム・バートン版の「PLANET OF APES/猿の惑星」ってのも有ったよね。ティム・バートンはさすがに頭がイイ。「猿の惑星」のキモが、猿メイクや差別問題だけじゃない、衝撃のラストが大事であることを理解していた。あの第一作のリメイクであるだけにプレッシャーも有ったに違いないが、意外にあっさり「自由の女神」に匹敵する(匹敵はしないかな、、、)ヴィジュアルを用意して、我々をうならせたものだ。
 
 で、またぞろ「猿の惑星」ですよ。
 「創世記」とか言っちゃって、またここから始めるっつってんのね。
 現代のハナシ(ちょっと未来?)であって、「一匹の知性に目覚めた猿が他の猿をまとめ始める」ってプロットは、前シリーズで言うと第四作の「猿の惑星・征服」にあたる。知性ザルの名前も一緒だし。
 
 で、当方上記したような理由で、「猿の惑星っつってんだからなんか衝撃のラストが待ってるんだろうなー、、、」と思ってたんだけどさ、まあ、ありませんでしたね。
 取って付けたようなカタストロフへの予感はあるんだけどさ、「オマエまさかコレを持って『衝撃のラスト』とかほざくつもりじゃねーだろーな、、、」って感じ。
 
 まあ、正直言ってそんな悪い映画じゃないと思うのよ。少なくともいい加減には作ってない。真面目に丁寧に作ってる。久々に見たジョン・リスゴー演じる主人公の祖父との交流とかさ、なんか、この脚本書いた奴って善人なんだろ〜な〜って感じ。ラストのカタストロフへの予感も、1967年に一番怖かったのは核兵器だけど、今怖いのはコレだって、時代の恐怖を反映させてる。
 
 だけどこの新シリーズ、一作目から衝撃のラストも無くって、この後どうするんだろうねぇ、、、
 要するに最終的にどうなるか解っちゃってるわけじゃん?まだ猿の惑星になる前から「猿の惑星」って名乗っちゃってんだから。コレで最終的に猿の惑星にならなきゃ詐欺だ。
 旧シリーズの三作目以降も基本的にはどうなるかわかってるわけだけど、アレは第一作の衝撃のラスト有りきなんだよな。あのラストが衝撃的すぎて「あのラストへ至るまでの道程」を描くことが許されてるわけ。しかも今から猿の惑星って名乗っちゃってる以上、あの「最後の猿の惑星」の手も使えない訳じゃん?難儀だねぇ、、、
 
 ところで「猿の惑星」の新作が日本に来る度に全国の「猿野くん」はイジメに会うそうだ。猿野は臭え、猿野は臭え、、、
 
 さらに「砂の惑星」が来たときは全国の砂野くんが、、、JUGEMテーマ:映画 

at 23:11, 空中禁煙者, 洋画

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「ハンナ」 色気皆無の美少女アクション

 16歳の少女ハンナは、幼女の頃から北極圏の雪原で獣を捕って食べながら、父に暗殺者として育てられてきた。父と二人きり、誰に会うこともなく。テレビもねぇ、電話もねぇ、ハンナの家には電気がねぇ。楽しみは百科事典の暗記とグリム童話。そしてグリム童話の本にこっそり挟んだ今は亡き母の写真(証明写真っぽいのが泣かせる)のみ。
 ある日、ハンナは父に告げる。
 「もう、充分よ」
 
 かくしてハンナは旅立つことになる。母を殺した魔女に復讐しに。

 という訳で、括りとしては当然アクションものだが、監督のジョー・ライトは今まで文芸モノばっかりのヒトなので、「きつと、地味なんだらうな、、、」と思って観たのだが、なかなかどうしてシャープなアクションを観せる。
 とりあえず、同じ16歳の美少女、シアーシャ・ローナンちゃんが、本当に「十数年殺し屋として育てられた少女」に見える体の動きを見せるのには驚愕する。
 例えば同じ美少女アクションということで上戸彩ちゃんの「あずみ」あたりの殺陣の出来と比較してしまうと、我が国の映画界のアクションというものに対する取り組みの真剣味のなさに絶望せざるを得ない(いや、上戸彩ちゃんは悪くないです)。

 極寒の北極圏から拉致されたCIAの地下基地を脱出すると、そこはモロッコの平原、、、という対比が効いている。せっかく白人の旅行者を出しているのだから、彼らがもっと暑がる描写は必要ではないかと思うが。
 さらにハンナはお金もないのに父との待ち合わせ場所ベルリンへと飛ぶ。ここで待ち合わせ場所に選ばれた荒廃した遊園地の風景がまた良い。小枝探偵が来そうな不思議な風景の中で、最後のアクションが繰り広げられる。

 そんな訳でアクション快調、舞台も快調なんですが、実を言うとストーリーが不思議。

 母の敵を討ちたいんなら、別に生きてることを知らせなくても、こっそり近づいて行って殺せばいいんじゃないの?十数年経ってて顔なんか判らなくなってるし、まさかシアーシャ・ローナンちゃんみたいな美少女が凄腕の殺し屋とは思わないでしょ。
 
 鳴り物入りで登場した追跡屋兼殺し屋が、ほとんどクソの役にも立たないのも納得行かない。なんかもうちょっと見せ場作ってやらんと、シアーシャちゃん危ない!!って感じが出ないよね。

 さらに「初めて出来た友達」の末路が描かれないのも不思議。ハンナが初めて出来た友達の行く末をあまり気にしてないのは、ハンナの出生の秘密に関わることなのでまあ、仕方がないんだが、普通の映画の文法だと、彼らがどうなったか観客には明らかにすると思う。
 ひょっとして続編への伏線なのかなぁ、、、だったら楽しみではあるけど。

 数年経って色気なんかも出てきたハンナによる続編を望みます。
JUGEMテーマ:映画

at 20:31, 空中禁煙者, 洋画

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「USAカニバケツ 超大国の三面記事的真実」 カニバケツ的状況自体がひとつの娯楽

 とりあえず「カニバケツって何?」と思うわけだが、「たくさんのカニをバケツに入れておくと、フタをしなくても逃げないという。一匹がバケツから出ようとすると、他のカニに引きずり降ろされるからだ」、と言うことです。なるほどねぇ。
 本書は他のカニたちを引きずり下ろしてバケツから出ようとしたアメリカンセレブ達のゴシップ記事的コラムであり、一方でまたコラムの元となった報道自体がまた、セレブ達を引きずりおろそうと言うカニバケツ的行為であると言う二重構造を持っている。
 セレブ達も、セレブ達をクサす報道も、同じバケツのカニなのだ。
 
 モラルがあるふりをしてモラルが無いアメリカ人、単純なら論理的帰結と言うものが理解できないアメリカ人を笑いながら、どこか町山氏自身のアメリカのへの愛を隠せないのは「キャプテン・アメリカはなぜ死んだか」と同じ。
 が、「ったくよぉ〜、ホントしょうがねーなー、アメ公は、、、」などと言いながらも温かい目を向ける町山氏も、一瞬、ムキになる箇所がある。ドキュメンタリー映画「パラダイス・ロスト」を観た時だ。
 
 バイブル・ベルトのど真ん中、メンフィスで小6男子3人が惨殺される。やがて三人のティーンエイジャーが逮捕されるが、逮捕の主な理由は彼らのリーダーが「GOTHファッションをしている」「悪魔崇拝的な音楽(まあ、デスメタルだな)を好んでいる」から。次々に彼らにとっては有利な証拠も出てくるが、GOTHファッションもデスメタルも理解できない地元住民による陪審員達に有罪を宣告されてしまう、、、
 
 本書の初版は2004年だが、2011年9月に書かれたあとがきで逮捕された3人の現況が明らかにされているが、「ピューリタンぶってるくせに裏ではド汚いことをやってるキリスト教徒」と言うのが、「未公開映画を観るTV」あたりまでを含めた町山氏のテーマの一つのようでもある。
 
 2004年に書かれたコラムの個々のコラムの末尾に、たまに2011年からのツッコミが入っているのもなんかお得。
 2004年辺りのマイケル・ジャクソンの奇行の数々を書き連ねておいて、最後に「2009年に変死した」と書かれると、マイケルの死以来、「ベストヒットUSA」でマイケルを神格化する特集を組み続けている(やらされている?)小林克也さんが心底可哀想になってくる。
JUGEMテーマ:ノンフィクション

at 20:18, 空中禁煙者, 書籍

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「婚前特急」 実は主役は浜野謙太説

 まあ、吉高由里子目当てですが、、、
 
 「このたび、わたくし池下チエは、5人の彼氏を査定します」ということなので、5人の彼氏を次々に査定するハナシかと思うと全然違う。
 ショージキ言って5人のうち4人は殆どどうでもいい。彼らは主人公のチエが「彼氏が5人もいて査定しようと思うようなオンナ」であることを表現するためにいるに過ぎない。
 
 チエは自分では「限られた時間を有効利用し、いろいろな体験を楽しむために」5人の彼氏を手玉に取るイイ女のつもりだが、査定の結果切ろうと思った最初のオトコに、実は5人ものオトコにタダでヤラせる「都合のイイ女」に過ぎなかったこと思い知らされてしまい、迷走し始めてしまうのだ。
 
 この逆転の発想は悪くない。
 悪くないんだけど、だったらそれはそれでそのハナシをやればいいものを、この最初のオトコが浜野謙太の異常なキャラクターを前提にしないと成り立たないようななんとも不思議な(ある意味不気味な)人物に造形されているために、映画自体が迷走し始めてしまう。
 途中から浜野謙太演じる「田無」(名前もヘン)なる人物の映画になってしまうのだ。
 
 吉高由里子も負けじと強烈なキャラで何とか映画を自分の手に引き戻そうとするが、恐らく見終わった後に観客の脳裏に焼き付いているのは「田無」の不気味なまでに自己中心的なキャラであるまいか。
 
 一方で、なんか懐かしいムードの漂う映画でもある。
 チエ周りはなんとかオシャレでリッチで今風にしようとしているのだが、パン工場で働き木造畳敷きの部屋に住むタナシ周りが、なんとも異常なタナシのキャラと相まって、なんだかバブル以前の時代のATG映画か自主映画のよう。1978年生まれらしい前田弘二監督は「懐かしくしたい」なんて一瞬たりとも思ってないだろうが、全体として現代の東京のハナシと思えないとても思えない懐かしさ。
 なんで懐かしくなっちゃうんだろう。いや、ラストカットの電車のアップなんか明らかに懐かしい雰囲気の車両を使ってるわけで、やっぱりある程度狙ってるのかなぁ、、、
 
 前田監督はコレが長編デビュー作だそうで、デビュー作からテンポの良いコメディ映画が撮れるほどコメディは甘くない。チエとタナシが生垣に突っ込むシーンの間延びしたカッティングなどは観ててイライラする。
 むしろ、故・相米慎二のような、長いカットで役者の生理を捉えていくような演出に冴えを見せるタイプのようだ。
 二組のカップルが畳の部屋でちゃぶ台挟んで食事(懐かしいねぇ)するシーンで、ちょっとしたきっかけで残り三人の会話が盛り上がり、チエ一人が取り残されていく有様を延々とワンカットで撮っているが、吉高由里子のセリフが殆ど無く、表情のアップも無い(ちゃぶ台の右と左に別れて座った二組のカップルを、吉高由里子に近い側から撮っているので、吉高由里子の顔はほぼ向こうを向いていて見えない)にもかかわらず、座り込んだ全身の演技でチエの苛立ちを表現し切れていて、ちょっとハラハラする。
 
 とは言うものの、結果的に、ラストのチエの選択どころか、タナシの選択にすら納得がいかないのは残念。実は誰も自分のことを本当には愛してくれていないことを知ったチエが、自分のことをほんとうに愛してくれているオトコとくっつく、と言う監督のプランは分からないでもないが、愛してくれているかどうかと同じくらい、自分が相手のことを愛しているかどうかも大事だと思うんだけどなぁ、、、
 そこはすっ飛ばされちゃうせいで、ラストがとてつもなく唐突。
 
 正直言ってチエもオトコから見ると単にワガママでバカな勘違いオンナなので、吉高由里子の魅力爆発とはいかないが、圧倒的な存在感と、ワガママオンナのヒステリーさえ平然と演じきる演技力はさすが。ただ可愛いだけの女優じゃないところを見せつけるが、出来ればもうちょっと仕事選んでほしいという気もする。
 
 ところでさ、チエの職業を公式サイトですら「OL」って書いてるんだけど、コレ、どう見ても営業ウーマンでしょ。一体全体いつから「女性サラリーマン」を何でもかんでもOLって言うようになったの?
JUGEMテーマ:映画

at 20:07, 空中禁煙者, 邦画

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「眩暈」 ハードボイルド=寒い土地、のイメージが定着しそう

 自らつくり出した主人公とそのシリーズを3つも4つも使って、一貫してススキノ→札幌→北海道を描いてきた東直己氏。
 シリーズを3つ使って別々の書籍、別々の主人公でひとつの事件を描く、と言う大胆な手法に「失敗(だとオレは思ってる)」した頃、もう、東氏もダメかな、、、と思ったが、なかなかどうして徐々に持ちなおしてきている。
 
 ススキノ便利屋が東氏の軽薄な部分を代表してるとすれば、東氏の真摯な部分を反映させたキャラクター、畝原が主人公の一冊。
 冒頭近くで畝原がススキノ便利屋をチラッと目撃して、辛辣なセリフを吐くあたりはご愛嬌。
 
 両シリーズに共通の欠点として「せっかく等身大の登場人物を描けているのに、事件が大袈裟すぎる」と言うのが有ったのだが、今回は、まあ、事件も等身大。安心して「東札幌ワールド」に浸っていられる。
 
 そもそもハードボイルドミステリーは、南カリフォルニアの風土と切り離しては存在し得ないものだ、とする言説がある。
 オレも、なんとなく、ハードボイルドミステリーって風土と無関係には存在し得ないんだろうな、と言う気はする。
 ハードボイルドミステリーは、通常の本格ミステリーなどと比べて、花鳥風月に何かを象徴させることが多いのだ。
 が、例えば本書などを読むと、東氏は札幌の風土にハードボイルドミステリーを定着させることに成功したヒトなのかな、と思う。札幌の風土風俗や、札幌の変化にすら、何かを象徴させることに成功しているように思う。
 
 後はアレ、東氏のもう一つの欠点である「異常者頼み」を脱却し、札幌でしかありえない犯罪を描けるようになったら、多分、世界レベルのハードボイルド小説になるのではないか。
 考えてみるとマーロウの扱う事件は、大金持ちとギャングが共存する街でしかありえないものばかりだったような気がする(まあ、街としての規模が違いますが)。大金持ちは、悩める家族を抱えているものなのだ。
JUGEMテーマ:小説全般

at 17:29, 空中禁煙者, 書籍

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「トラフィック」 なんかムカつく、、、

 アメリカ=メキシコ間の麻薬戦争を、3つの視点を交互に描くことによって総合的に抉り出そうという試み。
 まあ、出来てる。

 何故麻薬戦争の最前線ではなく、敢えて3つの視点かというと、麻薬戦争の「トラフィック」とは、乗り物の問題だけではない、と。
 運んでる奴、買い付ける奴だけ抑えてもダメだ、そもそもメキシコに麻薬を育てるしか他に生きる道を見いだせない奴、アメリカには麻薬に頼らないとプレッシャーに耐えられない奴がいるのだ、と。
 そいつらをどうにかしないと、麻薬戦争は終わらないよ、と。
 まあ、出来てる。

 相変わらずのクールなタッチで、ひとつひとつが一本の映画になりそうな3本のエピソードを描き切るソダーバーグの手腕はさすがだと思う。この映画が良い映画であることは間違いない。
 思うが、なんか知性派ぶってるのがスゴいムカつく。
 例によってあんまりドラマチックな音楽は使わず、効果音みたいなアンビエントな音だけで勝負してる。
 「いやあ、感動的な音楽で感動させるって、ちょっと違うじゃん?」とか言ってそうだ。

 メキシコのシーンは黄色い画面で、サンディエゴのシーンは青い画面にしてる。
 「どう?分かりやすいでしょ?コレなら観客もいまどこのシーンだか迷わないでしょ?いやあ、3つのエピソードごちゃ混ぜにしてるからさあ、解り難いと思ったんで、ちょっと工夫してみたんだよね、、、」

 イヤイヤイヤイヤちょっと待て、と、
 「ミスター・ノーボディ」なんか3つのエピソードの時系列もゴチャゴチャで、あまつさえ主人公さえ同じなのだが、この時は登場人物の服の色や主人公の髪型や演技で区別が付くように工夫していた。
 「トラフィック」より新しい映画を持ち出すのはズルいと言うのなら、「レッドオクトーバーを追え」はどうだ。
 「レッドオクトーバーを追え」も二つの潜水艦の間をカメラが行ったり来たりするので、すぐに今どっちの潜水艦の中だか分からなくなりそうなもんだが、この時は潜水艦内の照明の色を変えることによって区別が付くように工夫していた。
 
 どっちも「フィルムに着色する」などと言う下品なことはしていなかった。そりゃ区別つくよ。
 そんなだったらいっその事画面の端に「メキシコ」とか「サンディエゴ」とかずっと出しとけよ。

 確かこの映画で助演男優賞を獲ったベネチオ・デル・トロの選択などは、なるほど感動的ではある。
 「ああ、結局そういうことなんだろうな、、、」などとも思う。
 だけど虚しい選択ではあるだろう。コレで麻薬戦争が終わるかというと終わらないし、麻薬戦争終結の第一歩にすらなりそうじゃない。
 普通なら「映画なんだから虚しくったって感動的ならいいさ、、、」と思うところだが、「どう?感動的でしょ?」とうそぶくソダーバーグが脳内にチラつくにつれ、「虚しいくせにドヤ顔すんな!!」と腹がたってしまう空中さんであった、、、
JUGEMテーマ:映画

at 18:51, 空中禁煙者, 洋画

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「バレエ・メカニック」 サイバーパンクを「文体」から描く脅威の傑作

 第一章で東京都はパニックに襲われる。脳幹以外死滅してしまった少女の思考が、都市に漏れ出しているらしい。いや、少女が都市を死滅してしまった大脳の代わりにして思考しているらしい。このパニックは少女の名前をとって「理沙パニック」と名付けられる。
 第二章は、大脳の代わりに都市で思考できるなら、そもそも肉体はいらないのではないか、精神のみ都市に預けて生きていけるのではないか、つまりは「不死」が可能なのではないか、と言う可能性が追求される。
 ココまではSFマガジンに掲載されたらしい。
 そして問題の書籍化する際に書き下ろされた第三章である。

 少女の思考に蹂躙される東京の美しさに酔いしれてればいい第一章と、ミステリー風の第二章に続いて展開される第三章では、全く訳のわからない世界が展開される。この訳の解らなさはちょうどスタニスワフ・レムの「星からの帰還」を思い起こさせる。敢えて、普通の人間には訳のわからないことを書いているのだ。

 ヴァーチャルリアリティだの、サイバーパンクだのと言った、すでに使い古された概念がある。ネットに接続されて個の概念が希薄になっていく世界など、なんどSFで語られてきたことだろう(お願いだから「具体的にどれ?」とか訊かないでね)。
 しかしそれらは全て、「描写」されてきたに過ぎない。現代人の視点から、現代人にも解るように「描写」されてきたのだ。
 しかし津原氏は「描写」しない。イキナリ、「文体」から変えてしまう。理沙パニック後の個の概念が曖昧になるであろう世界の「文体」を創設して、普通にハナシを進めてしまうのだ。

 美しい物語を、美しい文章で描くヒトだな、とは思っていたが、まさかココまでやり切るとは思わなかった。
 ココまでSF者だとは思わなかった。まさかレムに匹敵するSF者だとは。

 多分、そんなにSFに思い入れが有るわけでもないのだろう。たまたまSFマガジンから依頼があり、早川書房で単行本化するので、思いっきりSFにしてみました。その程度なのかも知れない。

 いやはや、おっそろしい才能がいたものである。
 本当は、レジェの「バレエ・メカニック」はYouTubeで観れます、便利な時代になったものです、とかしたり顔で書きたいのだが、それどころではない。
 現在のワタシは。とても「面白かった」とか「つまらなかった」とか書ける状態ではない。
 ただ、恐るべき才能にひれ伏すだけである。
JUGEMテーマ:小説全般

at 19:32, 空中禁煙者, 書籍

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