2011.07.31 Sunday
「火星ダークバラード」 火星の女性版「AKIRA」
実を言うと女性作家が苦手だ。グイン・サーガ全巻読破しといていまさら女性作家が苦手もないだろうと言われれば一言もないが、同じストーリーを描いていても、興味のある所が違うというか、なんでそんなところを掘り下げるのかよく解らなくて退屈してしまう事がよくあるのね。
原因は主に「愛」についての態度だろうと思う。女性作家は何について書いていても、結局「愛」
について書いているのではないか、本当に興味が有るところはそこではないのか、と思ってしまうことがよくある。「愛」と劣情の区別がつきにくいオトコは(オレだけ?)「愛」をそんなに重要視(時に神聖視していると思える時すらある)されてもなぁ、、、とだんだん退屈になってきてしまうのである。
なんかエライ差別的な言辞を吐いているような気もしてきたが、とにかく女性作家は読み難いと言う偏見がオレの中にはあり、なんとなく避ける傾向があるのだ。
原因は主に「愛」についての態度だろうと思う。女性作家は何について書いていても、結局「愛」
について書いているのではないか、本当に興味が有るところはそこではないのか、と思ってしまうことがよくある。「愛」と劣情の区別がつきにくいオトコは(オレだけ?)「愛」をそんなに重要視(時に神聖視していると思える時すらある)されてもなぁ、、、とだんだん退屈になってきてしまうのである。
なんかエライ差別的な言辞を吐いているような気もしてきたが、とにかく女性作家は読み難いと言う偏見がオレの中にはあり、なんとなく避ける傾向があるのだ。
とは言うものの、21世紀の日本SFを抑えておこうとすると、どうもこの上田早夕里氏らしいのである。小松左京賞に「SFが読みたい!2011年版」の国内編一位である。もう、とりあえずおさえておくに越したことはないのである。
そんなわけで小松左京賞受賞のデビュー作から。
読み始めてすぐ、ははぁ、コレは大友克洋の「FireBall」だな、と思うが、中盤くらいまで来て、やっぱ「AKIRA」だな、と思う。
遺伝子操作によって人為的に作り出された超能力を持つ少年少女達。その中の最も優秀な一人が、科学者達の制御を離れ、やがて自分自身でも制御できなくなりカタストロフへと向かう、、、
ストーリーの骨格だけ取り出すとそっくりではないか。
違いは超能力者がとびきりの美少女で、彼女が能力を自分で制御するのを手伝うのが中年のオジ様(まあ、がさつなハミ出しデカだけど)ということだろう。アキラも鉄男も金田も男だが、ここで異性を持ってきたことは重要だ。
遺伝子操作によって人為的に作り出された超能力を持つ少年少女達。その中の最も優秀な一人が、科学者達の制御を離れ、やがて自分自身でも制御できなくなりカタストロフへと向かう、、、
ストーリーの骨格だけ取り出すとそっくりではないか。
違いは超能力者がとびきりの美少女で、彼女が能力を自分で制御するのを手伝うのが中年のオジ様(まあ、がさつなハミ出しデカだけど)ということだろう。アキラも鉄男も金田も男だが、ここで異性を持ってきたことは重要だ。
更に舞台はパラテラフォーミング(惑星全体ではなく一部をテラフォーミングすることをこう呼ぶらしい)された火星。
この、パラテラフォーミングされた火星の描写はハードSFの匂いをプンプンさせて、女性作家で有ることを忘れさせる。
火星の衛星が軌道エレベーターのために邪魔になるので、破壊することも資源として食い尽くすことも可能だったが、「観光資源」として残した、等と言う発想は恐れいった。センス・オブ・ワンダーってこういうことだよなぁ、、、などと思う。
この、パラテラフォーミングされた火星の描写はハードSFの匂いをプンプンさせて、女性作家で有ることを忘れさせる。
火星の衛星が軌道エレベーターのために邪魔になるので、破壊することも資源として食い尽くすことも可能だったが、「観光資源」として残した、等と言う発想は恐れいった。センス・オブ・ワンダーってこういうことだよなぁ、、、などと思う。
ストーリーはハミ出しデカを主人公にしたミステリー仕立てになっていて、超能力少女は謎を解くキーとして登場してくるのだが、全体としてミステリー要素とハードSFが有機的に結合してクライマックスになだれ込む構成に、ほとほと感心した。
ミステリー要素も主人公のキャラクターと密接に響き合い、一瞬足りとも遅滞しない。
デビュー作からエラく手練な新人さんなのである。
ミステリー要素も主人公のキャラクターと密接に響き合い、一瞬足りとも遅滞しない。
デビュー作からエラく手練な新人さんなのである。
厳密に言うと超能力少女たちを作り出している科学者の動機が、なんか納得いかない(外惑星で活動できる能力を手に入れることと、モラルの向上は関係ない気がするなぁ、、、)とか、「AKIRA」や「FireBall」を連想させる割には、ラストちんまり収まったなあ、、、とか、いろいろ不満がないでもないんだが、デビュー作でこの完成度は、SF界の心胆寒からしむるに充分ではあったろうと思わるれる。
まあ、ラストがね、「FireBall」のようなとてつもないカタストロフにも、「AKIRA」のような新世界への希望にもならない。結局「愛」の物語に収束しちゃうのね。
この、くどいラストを読んで、「ああ、そう言えばオレ、女性作家の作品読んでたんだっけなぁ、、、」と想い出すのであった。
この、くどいラストを読んで、「ああ、そう言えばオレ、女性作家の作品読んでたんだっけなぁ、、、」と想い出すのであった。
注)ハードカバー版と文庫版はラストが違うそうです。今回オレが扱っているのは文庫版であることをお断りしておきます。
JUGEMテーマ:小説全般
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