2009.07.30 Thursday
「デトロイト・メタル・シティ」 テーマは実は地方出身者の怨念
渋谷系のポップで軟弱なミュージシャンになりたかったド田舎出身の青年が、イヤイヤ始めたデスメタル系バンドでなぜか大成功するハナシ。
この設定はなんかいくらでも面白いものを引き出せる設定なような気がするが、スタッフキャスト共にあまり掘り下げはせず、ドリフのコントレベルのことを延々とやっている。ドリフのコントはドリフがやれば面白いが、松山ケンジと加藤ローサには荷が重過ぎるんじゃ、、、
この設定はなんかいくらでも面白いものを引き出せる設定なような気がするが、スタッフキャスト共にあまり掘り下げはせず、ドリフのコントレベルのことを延々とやっている。ドリフのコントはドリフがやれば面白いが、松山ケンジと加藤ローサには荷が重過ぎるんじゃ、、、
このハナシのポイントは、主人公が望んでいない分野で一定の成功を収めてしまうことだろう。イヤイヤやっているにもかかわらず、自分で作詞作曲して自分で歌ってギター弾いた曲が大ヒットしてしまうのだ。彼には明らかにデスメタルの才能があるのだ。彼は確実にデスメタルな部分を内包しているのだ。このことは彼がド田舎出身であること(そして都会的なものに憧れていること)を鑑みると、非常に重要なテーマに成りうる。
にもかかわらず、スタッフもキャストもそこには全く興味がないようだ。そこは不問にされたままハナシは進む。
彼に無理やりデスメタルをやらせているデスメタル狂の女社長は、どこかの時点で彼の才能を見抜いたからこそ彼に無理やりデスメタルをやらせているはずなのだが、この映画、彼が大学時代にミュージシャンになることを決心した時点から、既に一定の成功を収めた時点まで時間を飛ばしてしまうのである。女社長が彼の才能に気付いたいきさつは、一切描かれない。
誰が見てもそこがこのハナシの最大の謎だと思うのだが、映画のなかでは一切言及されることは無い。原作でその辺をどう処理しているのか知らないが、おそらくはちゃんと描いているか、或いはそこが気にならなくなるくらい、濃密な世界を展開しているのだろう。映画がこの問題を無視するに足るだけ濃密な世界を展開できているとは到底言えない。なにしろヒロインが加藤ローサだ。何かを諦めている。
女社長役の松雪泰子も一生懸命突飛なオンナを演じてはいるが、登場人物の中で一番「濃ゆい」人物であるべきデスメタル狂に見合う内実を醸し出せているとは到底思えない。「アンタ達、こういうことやっときゃマンガと同じだっつって喜ぶんでしょ?」と言ってる声が聞こえるようだ。
結局、人気マンガ原作で松ケン出しときゃそこそこヒットすんじゃね?と言った程度の企画なのだろう。JUGEMテーマ:映画