2009.10.05 Monday
「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳の別れの手紙」 医者の不養生映画
この映画のモチベーターは多分監督のソダーバーグではなく、プロデューサーも兼ねている主演のベネチオ・デル・トロだろう。一体全体なんで彼はこの映画がそんなに作りたかったんだろう。同じ中南米出身の英雄の功績(と挫折)が忘れられないように?この映画を観て、「中南米にそんな凄い英雄がいたんだ!」ってみんな認識を新たにすると思ったんだろうか。
ソダーバーグの理知的な演出は、あくまでも淡々と、淡々と英雄の後半生を描く。キューバ革命成立のあたりでも、盛り上がる演出は敢えて避けているようだ。一瞬の混乱もなく、事実の経過をわかりやすく描いているが、あくまでも淡々としている。
この映画を観ても、何故チェ・ゲバラが共産主義者なのかは分からない。何故、武力闘争にこだわるのかも分からない。ただ、最初からそう言う人間として描かれている。
なんか新しい解釈が付け加わっているようでもない。強いて言うなら「そんなに喘息が辛いんなら、葉巻やめればいいのに、、、」くらいだろうか。
そう、この映画のゲバラは、ずっと喘息に苦しんでる。そしてなんかっつーと(キューバの象徴である)葉巻を吸っている。
喘息に苦しみながらも葉巻を吸い続ける医者。
コレがこの映画のゲバラの印象だ。
何故かこの物静かな理性的なオトコが、何故か武力闘争にこだわり、キューバでは成功し、ボリビアでは挫折する。
PART1では、キューバ革命に成功する過程に平行して、革命成立後、キューバの政治家となったゲバラが国連で暴れるシーンがモノクロで挿入される。
実はこのシーンのゲバラが一番攻撃的に見える。戦場でマシンガンぶっ放してる時より。
PART2でボリビアに渡るに関しては、ソ連からの干渉も避けようとした彼の言動が大きな原因になっている筈だが、その辺がばっさりスルーされてるのも、なんか納得がいかない。
どうもよく分からない。
観客をナニでエンターテインしようとしてるのかが見えてこない。
「エンターテインメントじゃないんだから当然だよ」と言われりゃそれまでだが。
ソダーバーグの知性派ぶった演出もしまいにゃ気に入らなくなってくる。エンドクレジットに一切音がない、とか。
ひょっとして、アメリカや(キューバを除く)中南米では、この偉大な革命家の業績が忘れられかけてるってことだろうか。そういう危機感がこんな映画を作らせたんだろうか。
結局、ソダーバーグはPART2の「滅びの美学」みたいなことがやりたかっただけではないか。滅びるだけじゃなんだか分からないから、前半の栄光の部分がある、と。なんかデル・トロ兄貴はソダーバーグに騙されてるんじゃなかろうか。
「いや、チェの伝記やりたいんでしょ?オレに任せなよ。ちゃんと立派な人物に描いてやるからさ」とか言って。
う〜ん、、、メンド臭え、、、
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