「Parmanent Vacation」以降のエアロスミスはバンドじゃない。
アレは「プロジェクト・エアロスミス」だ。
サードアルバム「Toy in the Attic」以降、「Rocks」「Draw The Line」とロック史に残る傑作を連発するエアロではあったが、好事、魔多し、ドラッグと仲間割れで低迷期に入ってしまう。
「Night In The Ruts」(ペリー脱退、タイラーヤク中でフラフラ)
「Rock In A Hard Place」(ウィットフォード脱退、タイラーヤク中でヘロヘロ)
「Done With Mirror」(二人とも戻ってくるが、タイラー、ペリーはヤク中でボロボロ)
と本人達も忘れたいに違いないアルバムを出した後(Night In The Rutsは大好きなんだけど)、 ヤクを抜いて復活をかけて出した「Parmanent Vacation」 ではあったが、なんと一曲目が他人の曲だった。
「も、いいもん。売れっ子ライターの曲でヒット狙うもん。電子楽器もブラスもバリバリ使っちゃうもん」てコンセプトで作ったコレが大ヒットしちゃうのね。同じコンセプトの「Pump!」もさらに大ヒットして(イヤ、コレは傑作なんだけどさ)、「やっぱコレじゃん?」とこの路線を突っ走るエアロではあったが、コレ、もう、バンドじゃないだろ。エアロスミス風のノリのサウンドに乗せてスティーブン・タイラーが歌ってるだけじゃん。
もう、オジさんはコレ以降の3作は一回聴いたっきりで手に取る気もしない。例えば78年の「Live!Bootleg」がライブだとすれば、98年(20年後!!)の「A Little South of Sanity」はショウのサントラだ。音は格段に豪華になっているが、映像無しで聴いているとなんか気の抜けたような感じがするような出来でしかない。
ところが、だ。
そこへ持ってきて前作「Honkin' on Bobo」だ。なんと、ブルースのカヴァーアルバムだ(オリジナル曲もある)。コレの出来については、まあ、いろいろあるんだけど、これが果たして単なるメンバー間のガス抜きであるのか、本気で原点回帰するつもりがあるのかはちょっと気になるところだった。
そこへさらに追い討ちをかけるようにこのライブアルバムです。
これは凄いです。
なんと、2002年の録音であるにもかかわらずメンバー5人+ピアノの6人だけでやってます。
例えばオリジナル(セカンドアルバム)でもブラスを入れていて、 「A Litlle South」でもブラスバリバリでやってた「Same Old Song And Dance」もブラス無しでやってます。キーボードでちょっとブラスっぽい音入れてるけど。
「Live!Bootleg」と何曲か被ってるが、「Walk This Way」も「Draw The Line」も30年前と全く見劣り(聴き劣り?)しない。恐るべきジジイだな、、、これはやはり本気でしょう。
50過ぎて「も、あんま売れるのも飽きたな、、、」とか思って、 本気で昔みたいに5人だけライブで出来ることをやって行くよ、って宣言なんでしょう。つ、次のアルバムが楽しみだなぁ、、、
ところで日本盤はボーナストラックが2曲入ってるんだけどさ、これはちょっとどうかなぁ、、、と思うのね。この日実際のライブはこの倍くらいの曲が演奏されたらしいんだけどさ、スティーブン・タイラーがさんざん悩んだ末の選曲だと思うんだ、コレ。そのあげくにボーナストラックで「Live!bootleg」にも入ってた「Toy In The Attic」入れてるんだけどさ、これ、そもそも高速リフが中心で、ライブでやるの大変だらうな、、、って曲なんだけどさ、「Bootleg」ではひょっとしたらオリジナルより速いんじゃねーかってテンポで、ビシバシキメまくってんの。
しかし今回はさすがにダメでしたね。明らかにテンポ落としてるし、なんかバタバタしちゃってる。タイラーもその辺を感じてこの人気曲を落としたと思うんだけどなぁ、、、
さらにこのアルバム、初回盤はDVDもついてるんです!!
同じ日の同じ演奏の。
映像見るとさぁ、、、アレなのよ、もう、なんて言うの?こう、タイラーとペリーばっかりいつまでたっても若くってさぁ、、、 リズムの三人はもう、おじいちゃんなの。
オレはもともと「Bootleg」とか聴いててもさぁ、ジョー・ペリーって、ウィットフォードがさんざん曲全体を支えて支えて盛り上げたあげくに出て来て、好き勝手やってまた引っ込むヒトってイメージがあるんだけど、人間、やっぱ好き勝手やってる奴は若いままなんだなぁ、、、とか考えざるを得ませんね。 この二人がヤク中でボロボロだったんだけどねぇ、、、