2012.01.25 Wednesday
「NOVA 6 書き下ろし日本SFコレクション」 サイファイ騒動に寄せて(怒涛の完結編)
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評価:
![]() 宮部 みゆき,牧野 修,北野 勇作,斉藤 直子,蘇部 健一,樺山 三英,松崎 有理,高山 羽根子,船戸 一人,七佳 弁京 ¥ 998 |
<<昨日の続き>>
そんな訳で「NOVA6」です。
今回は「期せずして新人特集」だそうで、今時10人中5人新人さん、と聞いただけで「またSFでもなんでもないものを読まされるのか、、、」とビビってしまう空中さんではありましたが、よく見たら北野勇作・牧野修・宮部みゆきの三氏以外は新人さんかどうかも知りませんでした。
今回は「期せずして新人特集」だそうで、今時10人中5人新人さん、と聞いただけで「またSFでもなんでもないものを読まされるのか、、、」とビビってしまう空中さんではありましたが、よく見たら北野勇作・牧野修・宮部みゆきの三氏以外は新人さんかどうかも知りませんでした。
・斉藤直子「白い恋人たち」
SF。紛れも無いSF。スペキュレイティブなSFとしてかなりのポテンシャルを秘めているにもかかわらず、意地でも落語で落とすあたりが個性といえば個性ですが、なんかもったいない気もします。
SF。紛れも無いSF。スペキュレイティブなSFとしてかなりのポテンシャルを秘めているにもかかわらず、意地でも落語で落とすあたりが個性といえば個性ですが、なんかもったいない気もします。
・七佳弁京「十五年の孤独」
SF。しかもハードSF。ラストでダラダラしなければ傑作といってもいいのではないか。ラストはちょい手前でバッサリ終わるか、もうちょっとひねって欲しかった。あとやたらクラークにちなんだ固有名詞も恥ずかしい。
SF。しかもハードSF。ラストでダラダラしなければ傑作といってもいいのではないか。ラストはちょい手前でバッサリ終わるか、もうちょっとひねって欲しかった。あとやたらクラークにちなんだ固有名詞も恥ずかしい。
・蘇部健一「硝子の向こうの恋人」
SF。しかもタイムトラベルSF。しかもロマンチックタイムトラベルSF。じゃあ40年前の「美亜へ贈る真珠」を超えたかって言うと超えてないわけで、日本SF40年の歴史を食いつぶす様な行為といえなくもないが、まあ、面白いんで仕方ない。
SF。しかもタイムトラベルSF。しかもロマンチックタイムトラベルSF。じゃあ40年前の「美亜へ贈る真珠」を超えたかって言うと超えてないわけで、日本SF40年の歴史を食いつぶす様な行為といえなくもないが、まあ、面白いんで仕方ない。
・松崎有理「超現実な彼女 代書屋ミクラの初仕事」
非SF。このヒトの作品は、「アタシ、大学で研究職なの、理系女子なの、ウフフ」とか言いたいだけのような気がする。どうでもいいけど、新人作家がSFのアンソロジーにヌケヌケとこういう作品を寄せてくるっていうのはどうなのか。大森氏がイイといえばイイんだろうが、なんかSFというブランドを舐めているし、ひいてはSFファンであること自体を舐められたような気がする。
非SF。このヒトの作品は、「アタシ、大学で研究職なの、理系女子なの、ウフフ」とか言いたいだけのような気がする。どうでもいいけど、新人作家がSFのアンソロジーにヌケヌケとこういう作品を寄せてくるっていうのはどうなのか。大森氏がイイといえばイイんだろうが、なんかSFというブランドを舐めているし、ひいてはSFファンであること自体を舐められたような気がする。
・高山羽根子「母のいる島」
非SF。大森氏は「どこがSFだか分からない」と言っているが、別に分からなくはない、単にSFじゃないだけ。 「ヒットガールがたくさんいたら面白い」と思って書いたそうだが、単にヒットガールがたくさんいるハナシなだけで、別に面白くはないです。
非SF。大森氏は「どこがSFだか分からない」と言っているが、別に分からなくはない、単にSFじゃないだけ。 「ヒットガールがたくさんいたら面白い」と思って書いたそうだが、単にヒットガールがたくさんいるハナシなだけで、別に面白くはないです。
・船戸一人「リビング・オブ・ザ・デッド」
SF。紛れも無いSFであり、起きている事自体は特に難しいことは起きてませんが、残念ながら主要登場人物三人の抱える論理が、もう、ホントに、一行たりとも理解できませんでした。コレが「超メタ言語的な小説」ということかも知れません。
SF。紛れも無いSFであり、起きている事自体は特に難しいことは起きてませんが、残念ながら主要登場人物三人の抱える論理が、もう、ホントに、一行たりとも理解できませんでした。コレが「超メタ言語的な小説」ということかも知れません。
・樺山三英「庭、庭師、徒弟」
非SFなうえに、これぞ「超メタ言語的な小説」と言う感じ。「ウィトゲンシュタイン解題」としてそこそこ面白く読めなくもないが、作者のペダンティズムを満たすための小説を読まされても困る、という感じ。
非SFなうえに、これぞ「超メタ言語的な小説」と言う感じ。「ウィトゲンシュタイン解題」としてそこそこ面白く読めなくもないが、作者のペダンティズムを満たすための小説を読まされても困る、という感じ。
・北野勇作「とんがりとその周辺」
紛れも無くSFですが、残念ながら「あたらしいたいようのしょ」という単語で頭の中が充満してしまい、面白さを読み取れませんでした。
紛れも無くSFですが、残念ながら「あたらしいたいようのしょ」という単語で頭の中が充満してしまい、面白さを読み取れませんでした。
・牧野修「僕がもう死んでいるってことは内緒だよ」
「超メタ言語的な小説」であるにもかかわらず、SFであることによって、本当のリアルに突き抜けるという離れ業をやってのけている。たったコレだけの枚数で、3.11以後、リーマンショック以後(正確に言うと小泉改革以後か)の気分を(松本零士風に言うと)著しくえぐっている。
・宮部みゆき「保安官の明日」
SF。宮部氏は前回の「聖痕」が面白くなかったのでちょっと身構えたが、なかなかどうして今回はプロパーのSF作家のようなSFぶり。一瞬、「う゛ぃれっじ」だの「しゃまらん」などという単語が脳内を駆け巡り始めたが、予想を上回る展開が嬉しい。最初は普通に始めておいて、チラッチラッとヒントを挟む手管はさすが。ラストの種明かしを会話で処理したのは残念ですが。
「超メタ言語的な小説」であるにもかかわらず、SFであることによって、本当のリアルに突き抜けるという離れ業をやってのけている。たったコレだけの枚数で、3.11以後、リーマンショック以後(正確に言うと小泉改革以後か)の気分を(松本零士風に言うと)著しくえぐっている。
・宮部みゆき「保安官の明日」
SF。宮部氏は前回の「聖痕」が面白くなかったのでちょっと身構えたが、なかなかどうして今回はプロパーのSF作家のようなSFぶり。一瞬、「う゛ぃれっじ」だの「しゃまらん」などという単語が脳内を駆け巡り始めたが、予想を上回る展開が嬉しい。最初は普通に始めておいて、チラッチラッとヒントを挟む手管はさすが。ラストの種明かしを会話で処理したのは残念ですが。
ラストの2編で救われた感じだが、真ん中辺はもう、ホントに読むのが辛かった。
「調弦領域」の津原泰水(コレばっか)「土の枕」のように、全くSFではないのに「ああ、この小説に出会えてよかった、、、大森さんありがとう」と思うことがないでもないが、大森氏もまさか代書屋だの島だの庭だのが「土の枕」級の傑作だとは思っていまい。「調弦領域」のように傑作選ではないのだから仕方が無いといえば仕方が無いのだが、いくらなんでも10作中3作があからさまにSFじゃない(しかも小説としても傑作だから仕方がないとは言い難い)というのはいかがなものか。
そのうち全作あからさまにSFじゃないなどという巻が出るのではないかと不安になってしまう。
なんとなく、サイファイ騒動の時に恫喝されたことがトラウマとなって、「超メタ言語的な小説」であればそれは意地でもSFである、と言った倒錯が起きているのではないかとさえ勘ぐりたくなる。
「調弦領域」の津原泰水(コレばっか)「土の枕」のように、全くSFではないのに「ああ、この小説に出会えてよかった、、、大森さんありがとう」と思うことがないでもないが、大森氏もまさか代書屋だの島だの庭だのが「土の枕」級の傑作だとは思っていまい。「調弦領域」のように傑作選ではないのだから仕方が無いといえば仕方が無いのだが、いくらなんでも10作中3作があからさまにSFじゃない(しかも小説としても傑作だから仕方がないとは言い難い)というのはいかがなものか。
そのうち全作あからさまにSFじゃないなどという巻が出るのではないかと不安になってしまう。
なんとなく、サイファイ騒動の時に恫喝されたことがトラウマとなって、「超メタ言語的な小説」であればそれは意地でもSFである、と言った倒錯が起きているのではないかとさえ勘ぐりたくなる。
前にも書いたが三ヶ月に一回出ているアンソロジーでそうそう傑作に出会えるわけはないので、今回も冒頭の3作とラスト2作で充分読んでよかったと思えるレベルではあるが、今後のことを考えると、次非SF度が増えていたら読むのやめるぞというレベルでもある。
ココまで読んで多くのヒトは、「ジジイが最近の若いもんは分からん、、、って繰り言ホザイてるだけじゃ、、、」と思われていることと思いますが、充分承知の上です。
今、SF界は(世界のナベアツ風に言えば)完全に盛り上がりかけていると言われているが、ほとんどは今現在のSF界のオピオンリーダーたる大森氏の功績だろう。
その大森氏の編集方針が正しかったかどうか(オレの不安が間違っていたのどうか)は、おそらく13年後のSF界が答えてくれるだろう。
今、SF界は(世界のナベアツ風に言えば)完全に盛り上がりかけていると言われているが、ほとんどは今現在のSF界のオピオンリーダーたる大森氏の功績だろう。
その大森氏の編集方針が正しかったかどうか(オレの不安が間違っていたのどうか)は、おそらく13年後のSF界が答えてくれるだろう。
願わくば、「NOVA7」は全てSFであらんことを(SFでありさえすれば「超メタ言語的な小説」はアリ)。JUGEMテーマ:小説全般








